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ホピ族の神話2

ホピの4つの世界の神話にはもうひとつ別の形態が存在します。

第1の世界 トクペラ(Tokpela)

最初の世界はトクペラと呼ばれる終わりの無い空間だけの世界。 太陽の精神である神、ダワとそれより序列の低い幾つかの神が存在していた。 ダワは第1の世界を完成させるためにトクペラの要素を集め、そこにダワ自身の物質を加え、最初の生物を生み出した。 まだ人は存在せず、昆虫のような生物が洞窟の奥深くに住んでいるだけだった。 ダワは自身の使者であるスパイダーグランドマザー(ゴグヤンソウーチー)を呼び、地上へ降ろした。 「お前達が生命の意味すら理解できないことをダワは悲しんでいる。 ダワは新しい世界を造り生命を完成させようとしている。第2の世界へ行く準備をしておきなさい。」

第2の世界 トクパ(Tokpa)

スパイダーグランドマザーは彼らの先頭に立ち遥か上にある別の洞窟への長い旅に出た。 第2の世界へ到着するとダワは彼らを動物へと変化させた。 最初は喜び平和に暮らしていたが成長することの意味を理解出来なかった彼らはやがて戦いを始めてしまった。 ダワは生命の意味を失ってしまった第2の世界を見て再びスパイダーグランドマザーを送り、別の旅に発たせた。

第3の世界 クスクルツァ(Kuskurza)

旅の間にダワは第3の世界を造った。彼らが到着すると体が再び変化した。 「お前達は人間になった。ダワがお前達が調和して生活し、邪悪な考えを捨てて生活する為にこの世界を造ったのだ。 このことを忘れてはいけない。このことをよく考えるのだ。」スパイダーグランドマザーはこう言い残して去って行った。 人々は村を造りトウモロコシを育て始めた。ダワに感謝し、調和の中で生活を送っていたがまだ完璧ではなかった。 光が弱く暖かさが足りなかったためトウモロコシはよく育たなかった。 ある日、ハチドリが畑仕事をしている人のところへやって来てこう言った。 「私の主人で上の世界の支配者、死の世界の管理人、火の所有者であるマサウが君たちの作物が育たないのは君たちが熱を持っていないからだと言っているよ。 僕は君たちに暖かさの秘密を教えるためによこされたんだ。」そして火の熾し方を教え訓練した。 火の秘密を教わった彼らは火の民となった。 人々は火で畑を暖めトウモロコシを成長させた。陶器の造り方も覚え、肉の調理法も覚えていった。 しかしポワカ(魔法使い)が現れて混乱と対立を生み出した。 多くの人が生命の意味を探求する代わりに人間が世界を造ったと信じるようになった。 トウモロコシは育たなくなり、川は流れなくなり泉は涸れた。雨が降らなくなり作物は枯れ病気が蔓延しだした。 よい心を持つ者達はこの世界での良くない事柄についてキヴァで話し合い、怠け者を働かせポワカを罰した。 スパイダーグランドマザーが現れこう言った。「ダワは不快に思っている。ポワカは忘れてはいけないことを忘れさせた。 全ての人々はよい心を邪悪の後ろへ追いやってしまった。」人々はどこへ行けばいいのか分からずにいたが話し合いの末、空の上に世界があるはずだと結論に達した。 人々の長とメディシンマンが話し合った。「誰かを空の上にやらねばなるまい。そこに住む許可を得なければ。」一人が言った。 そこでメディシンマンは粘土で鳥を形作り、生きたツバメにした。「空の上に別の世界があるか見て来てくれ。 誰かいたら我々が住んでもよいか聞いて来てくれ。」ツバメに言った。ツバメは飛んで行った。空に開いた入り口を見つけたが、それ以上高くへは行けずに戻って来た。 メディシンマンはより強い鳥、ハト、タカを作り飛ばしたが、知りたいことを発見することは出来なかった。 メディシンマンはもう一度挑戦し、キャットバード(ネコマネドリ)を作った。キャットバードはタカが引き返した所を越え、さらに先へ飛んだ。 そしてマサウを見つけた。キャットバードは下の世界へ戻り彼らに話した。「上に住んでいる人を見つけました。マサウです。 もし来たいのなら来てもよいと言っていました。」 スパイダーグランドマザーが若い孫:戦士の神ポカンゴヤとポロンガホヤを連れて現れた。 「シパプニまで連れて行ってやろう。」そう言うと若い戦士の神にシマリスを探させた。 シマリスは広場の中心に竹を植え成長させ、シパプニまで届かせた。 スパイダーグランドマザーは旅の準備をさせるため人々を家に返した。旅は4日後に始まる。

第4の世界 ツワクァチ(Tuwaqachi)

まず最初にスパイダーグランドマザーが登り、後に戦士の神が続いた。 人々もゆっくり登り始めやがて竹の表面は人で覆われてしまった。 最初に登った者がシパプニを抜けて上の世界へ辿り着いた。 後の者も続々と上の世界へ到着した。待ち構えていたモッキンバードが彼らを整列させた。 「君はホピとする。ホピ語を話しなさい。」1人に言った。 「君はアパッチだ。アパッチ語を話しなさい。」別の1人に言った。 彼はそれぞれに部族と言葉を割り当て、各部族に移住のための指示を与えた。 ポカンゴヤとポロンガホヤは辺りを見回したが、泥以外なにもなかった。 彼らはナホイダダチア(祈りの棒)を使い草木が生やし、泥の塊は山になった。 北に トコナベ(ブラックマウンテン:現在のナヴァホマウンテン)を造り、南にはネウバチヤオヴィ(現在のサンフランシスコピーク)を造った。 彼らは東へ向かい丘や山やメサを造りムヨヴィ(現在のリオグランデ)まで到達した。 ここで彼らの役目は終わりシパプニへ戻って来た。 しかしこの世界の光は灰色で彼らが造ったものを見ることは難しかった。 スパイダーグランドマザーは人々に方法を教え、太陽と月を造った。 人々がシパプニを去ろうをしたときモッキンバードが言った。 「君たちは今トウモロコシを選ばなければならない。 それぞれの穂は生き方を表しているのだ。」 地面に置かれたたくさんのトウモロコシの穂の周りに集め選ばせた。 ナヴァホのリーダーはすぐに手を伸ばし、[短い寿命だが多くの楽しみと反映をもたらす]黄色い穂を取った。 スー族は白いトウモロコシを、スーパイ族は斑点入りの黄色いトウモロコシを、コマンチェは赤を、ユートはフリントコーンを選んだ。 アパッチのリーダーはてっぺんに種が付いているクワキーを選んだ。最後に残った青トウモロコシがホピのものになった。 ホピのリーダーが手に取り言った。 「我々は厳しい生活を送ることになるだろうが、苦難を乗り越え長く生きることができるだろう。」 移民が始まった。 スパイダーグランドマザーは言った。「もう見ることはできないがシパプニを忘れてはいけない。 長い旅に出なさい。 お前達は村を造り、再び移動するために村を捨てるだろう。 お前達がそこにいたことを他の人に知らせるためにどこで立ち止まり休んでも岩や崖に印を残しておきなさい。」

解説

ホピ族の神話にも幾つかの形態があります。 元々は各村がそれぞれ独立した国家のように機能していたため言語が共通でもしきたりや価値観は異なっていました。 この2つ目の神話はセカンドメサ周辺で語られているもので、全体的な雰囲気としては壮大な印象は受けず、身近な感じがします。 作物の育て方や近隣部族が登場するあたり近代に創作されたものではないかと思われます。 古代から語り継がれてきた神話というよりは、その時代を生き抜くための教養のような要素を持っている様に感じます。

※ホピ語のカタカナ表記について※

ネイティブアメリカンの言葉をカタカナに置き換えることは非常に難しいことです。 原文を書いたのは白人であり、耳で聞いたものをローマ字表記にしています。 カチナの名前でもそうですが、聞く人によって聞こえ方が違うため、数種類のローマ字表記が存在します。 このローマ字表記をさらにカタカナへ変換するので元々の発音からはかなり離れてしまう可能性もあります。 また、日本語にはない発音も含まれますのでカタカナ表記には限界があります。 こういったことから固有名詞が他の方の表記と違う場合もあるかと思いますが、ご了承ください。

用語解説

ダワ:通称サンフェイスと呼ばれている太陽のカチナ。タイオワと同じ存在と考えられます。
スパイダーグランドマザー:スパイダーウーマンと呼ばれることもあります。
ポカンゴヤとポロンガホヤ:ポクァンホヤとパロンガゥホヤと同じ。
マサウ:伝説上では第4の世界の番人とされていますが、生と死を司る神、火の番人とも言われています。
ポワカ :魔法使いはホピだけでなくナヴァホにも忌み嫌われる存在です。
ナホイダダチア:魔法使いの杖のようなもの。
シパプニ:次の世界と通じている脱出口のようなもの。キヴァの床にも第1の世界からの脱出を表すシパプニがある。

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