ナヴァホ族の神話では5つの世界が存在します。
第1の世界
第1の世界は黒い世界。とても小さく水に浮かんでいる島のようだった。
この世界には様々な昆虫と昆虫のような人々が住んでいた。
次第に混雑し争いが起ってきたので空の割れ目を見つけ、そこから第2の世界へ入り込んだ。
第2の世界
第2の世界は青い世界で、鳥達の世界。鳥達は昆虫の侵入に憤慨してた。
戦いの末、昆虫の人々は青い風の声に従い第3の世界へ逃れて行った。
第3の世界
第3の世界は黄色い世界。現在の我々の世界に近づいてきていた。
陸地には各方角に山があり、山の人々は「最初の男」と「最初の女」にトウモロコシの育て方や家の造り方を教えた。
また、水の怪物を怒らせないように警告した。
しかしコヨーテは警告を無視し、水の怪物の2人の子供を連れ去ってしまった。
突然海が盛り上がり陸地は洪水に見舞われた。
人も動物も一番高い山の頂上に集まった。
人々は巨大な葦を山の頂上に植え、内側を登っていった。4日間上り続け、遂に第4の世界へ辿り着いた。
第4の世界
第4の世界は白い世界。今までの世界よりも美しく多くの人々や動物で賑わっている。
「最初の男」と「最初の女」はさらにトウモロコシの育て方や様々なことを学んだ。
しかしコヨーテは水の怪物の子供を返していなかったので、再び盛り上がってきた海を見て最初の人々は恐れた。
再び葦を植えて登り始めたが、今回は最後まで登りきることが出来ず次の世界への穴も見つけられなかった。黄色い鷹が穴を開けようと試みた。
鷺と禿鷹も手を貸した。最終的にバッタが穴を開けることに成功した。
そして全員が穴まで登れるように蜘蛛が糸をたらした。
第5の世界
第5の世界は小さい島だった。蟻が第4の世界から土を運び、人々は作物の種を運んだ。
再び水位が上がり始めた時、「最初の男」と「最初の女」は水の怪物を怒らせたコヨーテを探し出し2人の子供をボートに乗せた。
水位は下がり以後洪水で世界が破壊されることはなくなった。
解説
ナヴァホの神話では5つの世界が存在しており、これはズニ族やプエブロ系民族の神話と共通しています。
ホピの神話と似ている部分が多いものの、抽象的な表現が多く全体的にぼやけた印象があります。
第3の世界からコヨーテが出現しますが、このあたりはナヴァホがアリゾナへの移動後に出来た話だろうと思われます。
何れの神話も洪水がキーワードになっているところなど侵略者であるキリスト教徒による刷り込みの影響があるのではないかと考えられます。
つまり白人入植後に聞かされた話が先住民流にアレンジされて定着したとも考えられます。